矯正治療について


矯正治療をお考えの方へ

当院では、矯正治療に関するご相談をいただくことが多くあります。
また同時に、矯正治療後に生じた歯ぐきのトラブルについてもご相談いただくことが多くあります。
当院では、少数の歯を動かす、といった部分的な矯正治療は行っておりますが、全体的な歯並びを大きく変えるという矯正治療は行なっておりません。
そのため、矯正治療そのものに関しては詳細なコンサルテーションを行うことができませんが、
歯周病専門医の立場から、

  • 矯正治療を行う前にしていただきたいこと
  • 矯正治療を行なっている間にやっていただきたいこと
  • 矯正治療の後に生じる可能性のある歯ぐきのトラブルについて

といったことについてはご相談に乗り、お答えをしております。(米国で仕事をしておりました時も、矯正治療による歯ぐきのトラブルの対応はよくありました。)

全てをここに記載することはなかなか難しいですが、その一部をお示ししたいと思います。

矯正治療を行う前にしていただきたいこと

歯ぐきの状態や歯を支える骨の状態、歯周病の状態に関するチェックを受けることを強くおすすめいたします。

矯正治療とは歯を並べ治す治療です。患者さんにとっては、噛む部分である”歯”しか動いていないように見えるかもしれませんが、同時にその下の本来見えない部分である歯の根っこやそれを取り囲む骨、さらには歯ぐきも動いています。
問題は、いわゆる上物である”歯”が希望通りに並んだとしても、その歯の根っこが歯科医学的(歯周病学的)に望ましくない位置に動いてしまうことがありうるということです。
仮に、見える範囲においては歯がきれいに並んでいても、その歯がどのくらい傾いたりしているか、といった条件次第で、その歯を支える骨がほとんどなくなっているという場合が多々見られます。

歯科医学的に理想的な状態であれば、健康な歯の周囲にはしっかりと歯槽骨が360度ぐるりと取り囲み、その歯槽骨の上にのっかるように歯ぐきがくっついています。
その場合は矯正で歯を動かしてもその歯やその”根っこ”に付き添うように骨や歯ぐきも動いていきます。
ただ、前歯においては、矯正治療を始める以前から、もともと歯を支える周囲の骨(とくに唇側)が少ないということはとても一般的です。
それ自体は生まれ持ったものなので仕方ないことなのですが、やはりこうした特徴を持っている患者さんの場合には、歯周病になった場合や、事前の綿密な骨の状態の診断をせずに矯正治療をした場合には、さらに骨が少なくなり、その結果として歯ぐきが異常にやせてしまったり、歯の根っこが露出して歯が長く見えるようになったり、あるいはそのために歯がとてもしみるようになったりというトラブルを抱えることがあります。
極端な場合は、せっかく歯が並んだのに歯が抜けかけている状態となっていることもあります。

そのため、できるだけ矯正治療を始める前には、特に前歯を大きく動かそうとする矯正治療の前には、前歯を支える骨の状態をできればCTを撮影して確認していただいたほうがよいと考えます。
そして必要であれば、”矯正治療によって歯を動かし始める前に”歯を支える骨や歯ぐきをあらかじめ増やしてトラブルを避ける治療をおすすめしています。
こうした治療を前もって行うことにより、矯正治療後に起こりうる歯ぐきや歯を支える骨のトラブルを避けることが可能になります。

矯正治療中にやっていただきたいこと

マウスピースタイプを用いた矯正治療の場合は問題になりませんが、従来のやり方であるブラケットを歯に装着して行う矯正治療の場合は、物理的に歯を磨くことができなくなってしまいます。
そのため、定期的な歯科医院でのクリーニングと、自宅でのうがい薬の使用を強くおすすめいたします。
うがい薬については、当院ではリステリン®︎をおすすめしています。

矯正治療は歯周病治療と同じく、正しい知識と技術を用いて行えば歯並びや噛み合わせが良くなり、歯磨きを行った時の効率が上がることで予防効果が上がることが期待されます。
また仮に虫歯や歯周病になったとしても、歯並びが整っていることから治療が比較的容易になってきます。
虫歯の治療の場合は、状態によっては歯を削る量を少なくすることができます。
ご希望のにはこのようなコンサルテーションを行い、こうしたトラブルを避けて矯正治療を進めていただける矯正専門医をご紹介いたします。
私は歯科矯正治療は年齢を問わず、可能であればどなたにでもやっていただきたい歯科治療の一つだと考えています。

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